「他サロンのビジネスモデルってどんななんだろう」
「毎月の売上が不安定で、将来の経営が不安…」
多くのサロンオーナーが抱えるこのような悩みは、技術力や情熱だけでは解決が難しいサロンのビジネスモデル、つまり「誰に、何を、どのように提供し、どう利益を上げるか」という事業の設計図に原因があるかもしれません。
この記事では、変化の激しい現代でサロン経営を成功に導くための羅針盤となる「サロンビジネスモデル」について、その基本から具体的な構築ステップ、そして高収益化を実現するための戦略までを網羅的に解説します。この記事を読めば、あなたのサロンが今後進むべき道筋が明確になり、持続的な成長へのアクションプランを描けるはずです。
なぜ今、サロンに「ビジネスモデル」の確立が必要なのか?
かつてのサロン経営は、良い立地で店を構え、高い技術を提供していればある程度の成功が見込める時代でした。しかし、現代の市場環境は大きく異なります。
- 競争の激化:個人経営の小規模サロンから大手チェーンまでが乱立し、価格競争も激化。
- 顧客ニーズの多様化:お客様は単に施術を受けるだけでなく、「特別な体験」「自分だけの価値」「癒しの空間」といった付加価値を求めています。
- デジタル化の進展:SNSや予約サイトが普及し、集客や顧客とのコミュニケーション方法が根本から変化しました。
このような環境下で、行き当たりばったりの経営を続けていては、あっという間に埋もれてしまいます。だからこそ、自店の強みと市場のニーズを正確に捉え、持続的に利益を生み出すための明確な「サロンビジネスモデル」を構築することが、成功への絶対条件となっているのです。

代表的なサロンビジネスモデル4選とその特徴
サロンビジネスモデルは一つではありません。
ここでは代表的な4つの形態と、それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
1. 店舗型サロン(総合/特化型)
商業ビルや路面に店舗を構える、最も一般的なモデルです。幅広いメニューを扱う「総合型」と、ネイルやアイラッシュ、脱毛など特定のサービスに絞った「特化型」があります。
- メリット:物理的な店舗があることによる社会的信用度が高い。内外装で世界観を表現しやすく、ブランディングに繋がる。充実した設備で質の高いサービスを提供可能。
- デメリット:家賃や内装費、光熱費といった初期費用・固定費が高額になる。商圏が店舗周辺に限定されやすく、集客努力が常に必要。
2. 無店舗型サロン(出張/面貸し・シェアサロン)
店舗を持たずに活動する、柔軟性の高いモデルです。お客様の自宅や指定場所に出向く「出張型」や、既存サロンの空きスペースを借りる「面貸し(ミラーレンタル)」、複数の技術者が場所を共有する「シェアサロン」などが含まれます。
- メリット:開業資金や固定費を劇的に抑えられるため、低リスクで始められる。働く時間や場所を自分でコントロールしやすい。
- デメリット:社会的信用を得にくい場合がある。毎回場所を確保する手間がかかったり、使用できる設備に制限があったりする。
3. 自宅サロン
自宅の一部を施術スペースとして活用するモデルで、特にエステやネイル、リラクゼーションなど大型設備を必要としない業態で人気です。
- メリット:家賃が不要で固定費を最小限にできる。通勤時間がなく、家事や育児などプライベートと両立しやすい。
- デメリット:生活感が出てしまうと、サロンとしての特別感を演出しにくい。マンション規約や法律で看板設置が制限されるなど、集客に工夫が求められる。
4. オンライン活用型サロン(スクール/コンサル)
施術だけでなく、自身の専門知識や技術をオンラインで商品として提供する新しいモデルです。美容コンサルティングや、同業者向けの技術指導、セルフケア講座などをコンテンツ化して販売します。
- メリット:場所や時間に縛られず、商圏が全国・海外にまで広がる。一度コンテンツを作れば、それが継続的に収益を生む資産になりうる(ストック型ビジネス)。
- デメリット:高い専門性や指導力、実績が不可欠。「教えるスキル」や、自分自身を売り込むマーケティング能力が求められる。
成功するサロンビジネスモデルを構築する5つのステップ
では、具体的に自店だけのビジネスモデルを構築する手順を、5つのステップで解説します。
1:コンセプトを設計する
ビジネスモデルの根幹であり、最も重要なのが「誰に、どんな価値を提供するのか」というコンセプトです。 ここが曖昧だと、全ての施策がブレてしまいます。「仕事帰りに立ち寄りたい30代の働く女性」のように具体的な人物像(ペルソナ)を描き、その人が抱える悩みや願望を深く理解しましょう。そして、その悩みを解決できる「他店にはない独自の価値(強み)」は何かを考え抜きます。
2:サービス・メニューを開発する
コンセプトに基づき、利益と顧客満足を両立するメニュー群を設計します。単発メニューだけでなく、集客用の「フロントエンド商品」、リピートのきっかけとなる主力の「ミドルエンド商品」、そして高単価・高利益率のコースや物販などの「バックエンド商品」という流れを意識しましょう。この動線設計が、安定した収益構造の鍵となります。
3:集客の仕組みを構築する
素晴らしいサービスも、お客様に知ってもらえなければ存在しないのと同じです。ターゲット顧客に合わせた集客方法を選び、継続的に新規顧客が訪れる仕組みを作りましょう。
- オンライン集客:Instagramでの施術事例や世界観の発信、GoogleビジネスプロフィールでのMEO対策(「地域名+業態」での上位表示)、LINE公式アカウントでの顧客との個別コミュニケーションが現代の主流です。
- オフライン集客:地域密着型であれば、チラシのポスティングや地域情報誌への掲載も依然として有効。また、最も成約率の高い集客は、満足したお客様からの紹介(口コミ)です。紹介カードなどの仕組みも検討しましょう。
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4:最適な価格設定を行う
価格は、提供価値と利益を繋ぐ重要な要素です。安易な値下げはブランド価値を毀損し、経営を圧迫します。「コスト」「競合」「価値」の3つの視点から、多角的に検討しましょう。特に「価値基準」が重要で、「お客様がこのサービスになら、いくらまで払う価値を感じてくれるか?」を自問し、自信を持って価格を提示することが大切です。その価値を伝える努力こそが、マーケティングです。
5:リピートされる仕組みを作る
サロン経営の安定は、新規獲得以上にいかにリピートしてもらうかにかかっています。顧客管理システムを導入し、お客様一人ひとりの来店履歴や会話内容、好みを記録・管理しましょう。
これにより、次回来店時に「〇〇さん、前回の△△、いかがでしたか?」といったパーソナライズされた接客が可能になります。また、LINEなどを活用し、来店後のフォローメッセージや役立つ美容情報を定期的に配信し、忘れられない存在であり続ける努力が不可欠です。
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サロンを高収益化させる4つの具体戦略
サロンビジネスモデルの土台ができたら、さらに収益を最大化するための具体的な戦略を実行します。
1:客単価を上げる(アップセル・クロスセル)
顧客一人当たりの支払額(客単価)を上げるための施策です。高圧的な営業は禁物ですが、お客様の悩みを解決するための提案は喜ばれます。
- アップセル:より高価格帯の上位メニューを提案。(例:通常トリートメント→髪質改善サイエンスアクア)
- クロスセル:メイン施術に関連する別のメニューや商品を提案。(例:VIO脱毛のお客様に、黒ずみケア美容液をセットで提案し客単価を170%アップさせた事例)
2:サブスクリプションモデルを導入する
月額定額制で特定のサービスを提供し、毎月の売上を安定させる強力なモデルです。 「月額〇円でトリートメント通い放題」といったプランは、顧客にとってもお得感があり、来店頻度が向上。結果的に他のメニューや物販購入にも繋がりやすくなります。
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3:物販を強化する
施術以外の収益の柱として、店販(物販)は非常に重要です。ただ商品を並べるのではなく、施術中に商品の良さを実際に体感してもらったり、カウンセリングでお客様一人ひとりの悩みに合わせて「あなたにはこれが必要です」と専門家として提案したりすることで、購入率は格段に上がります。
4:ニッチな市場でNo.1になる
あえてターゲットを絞り込み、特定のニーズを持つ市場で圧倒的な専門性を示す戦略です。「●●といえば、あのサロン」という地位を築ければ、価格競争から脱却できます。
- 成功事例:キッズ脱毛
「7歳から通える」「痛くない」などを強みに、子供の脱毛ニーズを捉えて地域で独占的な人気を得る。 - 成功事例:メンズ深夜脱毛
仕事で日中に通えない男性向けに営業時間を深夜まで延長。競合のいない時間帯で着実に売上を伸ばす。
まとめ:あなただけの成功するサロンビジネスモデルを構築しよう
成功しているサロンは、必ず独自の優れたビジネスモデルを持っています。しかし、それをそのまま真似するだけではうまくいきません。大切なのは、今回ご紹介した考え方や戦略を参考にしながら、あなた自身の強み、情熱、そしてお客様に届けたい価値を掛け合わせ、オリジナルのサロンビジネスモデルを創り上げることです。
まずは、あなたのサロンの「コンセプト」は何か、「誰のどんな悩みを解決したいのか」を、もう一度じっくりサロンビジネスについて考えてみてください。そこから、成功への道は拓けていくはずです。
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