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エステ価格設定の見直しとメニュー改定|保存版チェックリスト

「お客様に申し訳なくて、なかなか値上げに踏み切れない」「周りのサロンもこのくらいの価格だし…」「毎日予約でいっぱいなのに、なぜか利益が残らない」

サロン経営者の多くが、一度はこのような「価格設定」の悩みに直面します。技術やサービスには自信があるのに、その価値を価格に正しく反映できていない。その結果、忙しいだけで利益が出ない「ワーキングプア」状態に陥ってしまうケースは少なくありません。

エステサロンにおける価格設定の見直しは、単なる「値上げ」や「値下げ」ではありません。それは、あなたのサロンが提供する独自の価値を再定義し、お客様と共有し、そして持続可能な経営を実現するための、極めて重要な経営戦略です。このプロセスを怠ると、サロンの価値は徐々に低下し、価格競争の渦に巻き込まれてしまいます。

本記事では、サロンの利益を最大化し、お客様の満足度も向上させるための「価格設定の見直し」と「メニュー改定」の全手順を、具体的なチェックリスト形式で徹底解説します。この記事を最後まで読み終える頃には、価格改定への不安が自信に変わり、あなたのサロンを次のステージへと導くための具体的な行動計画が描けているはずです。

エステ価格設定について
目次

そのままで大丈夫?価格設定を見直すべき5つの危険サイン

まずは、あなたのサロンが価格設定の見直しをすべきタイミングかどうか、以下のサインでチェックしてみましょう。一つでも当てはまれば、本気で検討する時期に来ています。

  1. 利益率が低い、または年々下がっている
    売上は立っているのに、手元に残るお金が増えない。これは、原材料費や光熱費などのコスト上昇分を価格に転嫁できていない証拠です。
  2. 予約が常に満杯なのに、 身体的精神的に余裕がない
    これは典型的な「安すぎる」サインです。貴重な時間と技術を安売りしてしまい、サロンが疲弊している状態です。
  3. 新規集客に苦戦している
    サービス価値に対して価格が高すぎると感じられているか、逆に安すぎて「安かろう悪かろう」のイメージを持たれている可能性があります。
  4. 周辺に競合サロンができた、または競合が価格改定した
    市場環境の変化は、自サロンの価格の妥当性を再評価する絶好の機会です。
  5. 新しい技術の導入や、高品質な商材への切り替えを行った
    提供価値が向上したにもかかわらず価格が据え置きでは、投資コストが回収できず、お客様にもその価値が正しく伝わりません。

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【ステップ1】現状分析 – 感覚を捨て、データと向き合う

価格設定の見直しは、感覚や思いつきで行うものではありません。まず、サロンの現状を客観的な「数字」で把握することから始めましょう。

1. 全てのコストを正確に洗い出す

1回の施術に、一体いくらのコストがかかっているかを計算します。これが価格の最低ラインを決定します。

  • 変動費
    お客様一人あたりにかかる費用(化粧品、オイル、使い捨てシーツ、リネン類のクリーニング代、水道光熱費の一部など)
  • 固定費
    毎月一定にかかる費用(家賃、人件費、広告宣伝費、予約システム利用料、通信費など)

これらの費用から、あなたの「1時間あたりのコスト」を算出します。例えば、月の総コストが50万円で、月の総施術可能時間が100時間なら、あなたの時給コストは5,000円です。これに利益を乗せたものが、価格の基準となります。

2. 顧客データ・メニュー実績を分析する

POSシステムや予約システムのデータを活用し、以下の点を分析します。

  • 人気メニューTOP3とワースト3
    どのメニューが利益に貢献しているか、または貢献していないかを明確にします。
  • 顧客単価
    平均単価はいくらか。オプションや物販の購入率はどうか。
  • リピート率
    全体のリピート率と、メニューごとのリピート率を比較します。リピート率が低いメニューは、内容か価格に問題がある可能性があります。

3. 競合・市場調査をアップデートする

開業時に行った調査も、時間が経てば古くなります。改めて、現在の市場環境を確認しましょう。

  • 競合調査
    周辺の競合サロン(3~5店舗)のメニュー、価格、所要時間、コンセプトをリストアップし、自サロンの立ち位置を客観的に把握します。
  • 市場調査
    あなたのサロンのターゲット顧客が、現在どのような価値観を持っているか、何にお金を使いたいと考えているかをリサーチします。

【ステップ2】価格戦略の決定とメニューの再構築

現状分析で得たデータに基づき、具体的な価格とメニューを設計していきます。

価格設定の3つの基本戦略

どの戦略を軸にするかで、サロンの方向性が決まります。

  1. コストプラス法
    算出したコストに、 desired利益を上乗せする方法。利益を確実に確保できる最も基本的な方法ですが、市場価値から離れすぎない注意が必要です。
  2. 市場追随法
    競合の価格を参考にする方法。価格で負けない安心感はありますが、独自性を失い、価格競争に陥りやすいリスクも伴います。
  3. 価値基準法
    お客様が感じる「価値」を基準にする方法。これが、個人サロンや小規模サロンが目指すべき最も理想的な戦略です。「〇〇さんだからお願いしたい」「このサロンでしか体験できない」という付加価値を価格に反映させます。

顧客心理を掴むメニュー設計と価格テクニック

ただ価格を変えるだけでなく、メニュー構成も同時に見直すことで、お客様は改定を受け入れやすくなります。

  • 「松竹梅」の法則を導入する
    メニューを3段階の価格帯で用意することで、お客様は「契約しない」ではなく「どれにしようか」と考え始めます。多くの人が真ん中の「竹」を選ぶ傾向があるため、最も利益が出て売りたいメニューを「竹」に設定するのが鉄則です。
  • 端数価格効果を活用する
    「10,000円」ではなく「9,800円」と設定することで、心理的にお得感や割安感を演出できます。
  • セットメニューやコースメニューを強化する
    複数の施術を組み合わせたセットメニューや、複数回分の回数券を用意することで、顧客単価と来店頻度の両方を高めることができます。
  • 不人気メニューは思い切って廃止・リニューアル
    実績の悪いメニューは、お客様のニーズに合っていない証拠です。廃止するか、コンセプトやネーミングを刷新して新たな価値を吹き込みましょう。

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【ステップ3】顧客離れを防ぐ!スマートな告知と導入方法

価格改定で最も恐れるのが、既存のお客様が離れてしまうこと。しかし、丁寧なコミュニケーションを心がければ、それは防げます。

「値上げ」ではなく「価値向上」と伝える

お客様が納得できる「理由」を明確に、そして誠実に伝えることが何よりも重要です。

NG例
「原材料費の高騰により、〇月から値上げします」
→ サロン側の都合だけを伝えており、お客様にはメリットがありません。

OK例
「お客様へより質の高いサービスを提供するため、〇月より、〇〇(肌への効果が高い成分)を配合した新商材を導入いたします。それに伴い、一部メニューの価格を改定させていただきます。今後も技術向上に努め、価格以上の価値を感じていただけるよう一層励んでまいります。」
→ お客様へのメリットを提示し、未来への約束を伝えることで、期待感を醸成します。

告知のタイミングと方法

  • タイミング
    価格改定の1~2ヶ月前には告知を開始しましょう。突然の変更は、お客様に不信感を与えます。
  • 方法
    カウンセリング時に直接、丁寧に説明する(最も重要)
    店内のPOPやリーフレットで掲示する
    LINE公式アカウントやメールマガジンで通知する
    ウェブサイトやSNSでお知らせを掲載する

この直接の対話こそ、お客様の不安を解消し、信頼関係を深める絶好の機会です。

既存顧客への特別な配慮を忘れずに

これまでサロンを支えてくれた大切なお客様には、感謝の気持ちを形で示しましょう。これが顧客離れを防ぐ最も効果的な方法です。

  • 「〇月〇日までにご予約・回数券をご購入いただいた方は、旧価格でご案内します」といった猶予期間を設ける。
  • 既存のお客様限定で、新メニューを一度だけ特別価格で体験できるキャンペーンを実施する。

【保存版】価格設定・メニュー改定 実践チェックリスト

□ 1施術あたりの正確なコスト(変動費・固定費)を計算したか?
□ 人気/不人気メニューをデータで把握したか?
□ 競合の最新価格とサービス内容を調査したか?
□ サロンの独自の「価値」を言語化できたか?
□ 価格戦略(コスト/市場/価値)の軸を明確にしたか?
□ 「松竹梅」の3つのプランを用意できているか?
□ セットメニューやコースで客単価アップを狙えるか?
□ 値上げの理由を「お客様のメリット」として説明できるか?
□ 既存顧客への配慮(優遇措置)を計画したか?
□ 1ヶ月以上前に告知するスケジュールを立てたか?

まとめ:価格改定は、サロンとお客様の未来への投資

エステの価格設定を見直すことは、勇気がいる決断です。しかし、それはサロンの価値を守り、成長させていくために避けては通れない道です。

データに基づいた適切な価格設定と、お客様の心を掴むメニュー構成、そして誠実なコミュニケーション。この3つが揃えば、価格改定は顧客離れどころか、むしろお客様の満足度と信頼を高め、サロンのブランド価値を飛躍させる絶好の機会となります

このチェックリストが、あなたのサロンの新たな一歩を力強く後押しできることを願っています。

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この記事を書いた人

エステサロン開業を目指す方のための、実践型メディア。
実際にエステサロンを開業・運営してきた経験をもとに、準備から集客、助成金活用やスタッフ教育に至るまで、リアルで役立つノウハウを発信しています。
美容業界で「自分のサロンを持ちたい」という夢を叶えたいすべての方へ、確かな知識と具体的な手順をお届けします。

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