「自分のエステサロンを開業したいけれど、何から準備すればいいのか分からない…」
そんな夢と不安を胸に、この記事を読んでくださっているのではないでしょうか。
エステティシャンとしての経験を積む中で、理想のサロン像が膨らみ、独立開業を目指すのは自然な流れです。しかし、技術や接客に自信はあっても、経営となると話は別。何から手をつければ良いのか分からず、立ち止まってしまう方も少なくありません。
この記事は、そんなあなたのための「エステ開業の羅針盤」です。キーワード「エステ開業 何から始める」という疑問に真正面からお答えし、開業までの具体的な7つのステップ、要となる資金計画、そして見落としがちな許認可の基礎知識までを網羅的に解説します。
最後まで読めば、漠然としていた開業準備の全体像がクリアになり、夢の実現に向けて確かな一歩を踏み出せるはずです。

エステサロン開業を成功に導く7つのステップ
エステサロンの開業準備は、思いつきで進めると必ずどこかで壁にぶつかります。成功しているサロンは、例外なく入念な準備と計画のもとに成り立っています。
まずは、開業までの全体像を把握するために、以下の7つのステップを確認しましょう。
- コンセプト設計と事業計画書の作成
- 資金計画と資金調達
- 物件選びと契約
- 内装・外装工事
- 機器・備品の選定と導入
- 必要な届出・許認可の確認と申請
- 集客・宣伝活動
これらのステップは、順番通りに進めることが重要です。特に最初の「コンセプト設計」と「事業計画書」が、この後のすべてのステップのクオリティを決めると言っても過言ではありません。
1:【最重要】コンセプト設計と事業計画書の作成
エステサロン開業の成否を分ける最も重要なステップが、このコンセプト設計です。「誰に、どんな価値を提供したいのか?」を突き詰めて考えることが、他店との差別化につながり、お客様から選ばれる理由になります。
- ターゲット顧客層
20代の働く女性? 40代からのエイジングケアに関心がある層? - サロンの強み・特徴
最新機器による施術? オールハンドの癒やし? 特定の肌悩みへの特化? - 提供メニューと価格帯
ターゲット層が通いやすい価格か? 専門性に見合った価格か? - サロンの雰囲気
高級感のある非日常空間? アットホームで相談しやすい空間?
コンセプトが固まったら、それを具体的な数値や計画に落とし込んだ「事業計画書」を作成します。事業計画書は、自分の考えを整理し、事業の実現性を客観視するために不可欠です。後述する融資を受ける際には、この事業計画書のクオリティが審査を大きく左右します。
事業計画についての詳しい記事はこちらから👇
2:資金計画と資金調達
事業計画書で描いた理想のサロンを実現するために、どれくらいの資金が必要になるのかを具体的に算出します。必要な資金は大きく分けて「初期費用」と「運転資金」の2つです。
初期費用の内訳と目安
初期費用は、サロンを開業するために最初にかかる費用です。物件の規模や立地で大きく変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 物件取得費(50万円~200万円)
保証金や敷金、仲介手数料など。家賃の6ヶ月~12ヶ月分が目安です。 - 内装工事費(50万円~500万円以上)
壁紙、床、照明、電気・水道工事など。居抜きかスケルトンかで大きく変動します。 - 美容機器・設備費(50万円~300万円)
施術用ベッド、スチーマー、各種美容機器など。リースや中古品の活用も視野に入れましょう。 - 備品・消耗品費(20万円~50万円)
タオル、ガウン、化粧品、カウンセリングシート、予約管理システムなど。 - 広告宣伝費(10万円~50万円)
ホームページ制作、チラシ作成、看板設置費用などです。
自宅サロンであれば物件取得費や内装工事費を大幅に抑えられますが、賃貸物件の場合は最低でも300万円以上は見ておくと安心でしょう。
運転資金の重要性
見落としがちですが、初期費用と同じくらい重要なのが運転資金です。開業後すぐに売上が安定するとは限りません。売上がなくても家賃や水道光熱費などの支払いは毎月発生するため、最低でも3ヶ月分、できれば6ヶ月分の運転資金を準備しておきましょう。
資金調達の方法
自己資金だけで全てをまかなうのが理想ですが、多くの場合、融資を検討することになります。
- 自己資金
開業への本気度を示すためにも、総事業費の3分の1程度は用意したいところです。 - 日本政策金融公庫
政府系金融機関で、創業者向けの「新規開業資金」など、比較的低金利で融資を受けやすい制度があります。 - 制度融資
地方自治体、金融機関、信用保証協会が連携して行う融資です。 - 補助金・助成金
「小規模事業者持続化補助金」など、返済不要の制度も活用しましょう。
資金計画についての詳しい記事はこちらから👇

3:物件選びと契約
コンセプトと資金計画が固まったら、物件探しです。物件はサロンの成功を左右する重要な要素。以下のポイントを参考に、慎重に選びましょう。
- 立地
ターゲット顧客がアクセスしやすいか。駅からの距離や周辺環境を確認します。 - 視認性
路面店か空中階か。看板が出せるかも重要です。 - 広さと間取り
施術スペース、カウンセリング、待合室など、必要なスペースが確保できるか確認します。 - 設備
電気容量、給排水、換気設備などがサロン運営に適しているか、事前に確認が必要です。
4:内装・外装工事
契約した物件を、コンセプトに沿ったサロン空間へと作り上げていきます。内装はサロンの印象を決定づける重要な要素です。お客様がリラックスできる空間であることはもちろん、エステティシャンが効率よく動ける動線設計も考慮しましょう。
5:機器・備品の選定と導入
コンセプトに合ったメニューを提供するために必要な美容機器や備品を揃えます。高額な美容機器は、費用対効果を慎重に検討しましょう。最初はレンタルや中古品でコストを抑え、経営が軌道に乗ってから新しい機器を導入するのも賢い選択です。
6:必要な届出・許認可の確認と申請
エステサロンの開業にあたり、法的な手続きも忘れずに行う必要があります。
エステサロン開業に必須の資格はない
まず知っておきたいのは、エステティシャンには美容師のような国家資格はなく、サロン開業自体に必須の資格はないということです。
しかし、お客様からの信頼を得るためには、民間資格(例:AJESTHE認定エステティシャンなど)を取得しておくことを強くおすすめします。
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必ず必要な届出
事業形態によって、以下の届出が必要です。
- 個人事業主の場合
管轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出します。 - 法人を設立する場合
税務署に「法人設立届出書」などを提出します。
提供メニューによって必要な届出・許可
ここが最も注意すべきポイントです。提供するサービス内容によっては、別途、保健所などへの届出や資格が必要になります。
- まつ毛エクステ・まつ毛パーマを行う場合
美容師免許と、保健所への「美容所開設届」が必要です。 - 顔のシェービングを行う場合
理容師免許と、保健所への「美容所開設届」が必要です。 - その他
店舗の規模や構造によっては、消防署への届出(防火対象物使用開始届など)が必要になる場合があります。
これらの許認可は、内装工事を始める前に、必ず管轄の保健所や消防署に図面を持参して事前相談を行うようにしてください。工事完了後に「この設備では許可が下りない」となると、時間も費用も大きな損失になってしまいます。
7:集客・宣伝活動
サロンが完成し、オープン日が決まったら、集客活動のスタートです。オープン前から告知を始め、最高のスタートが切れるように準備しましょう。
- オンライン集客
ホームページ、SNS(Instagram, LINEなど)での情報発信、Web広告など。 - オフライン集客
チラシのポスティング、フリーペーパーへの掲載、近隣店舗への挨拶回り。 - プレオープン
友人や知人を招いて、オペレーションの確認を兼ねてお披露目するのも効果的です。
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まとめ:入念な準備がエステ開業成功の鍵
「エステ開業は何から始める?」という疑問にお答えしてきましたが、開業までの具体的なイメージは掴めたでしょうか。
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 成功の土台は「コンセプト」と「事業計画書」にあること
- 資金は「初期費用」と「運転資金」の両方を十分に準備すること
- 許認可は「内装工事前」に必ず管轄の保健所・消防署に相談すること
エステサロンの開業は、決して簡単な道のりではありません。しかし、一つひとつのステップを着実に、そして入念に準備を進めていけば、必ず夢を実現することができます。
この記事が、あなたの輝かしい第一歩を後押しできれば幸いです。
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